それでも君が

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「どういう状況だったの?」 彼女たちが小さく首を横に振って訴える。 「しつこく話しかけられて、逃げようとしたらぶつかったんです。わざとじゃありません……!」 「……。うん。分かった」 私は相手に向き直る。 「ジュースをかけてしまったのは申し訳ありませんでした。でも、ぶつかるその前に、うちの生徒に言い寄られたのはそちらですよね」 正直、怖くないと言えば嘘になる。 4人の内、3人は揉め事になるのを避けようとして、リーダー格の男子生徒をなだめている様だ。 すっかり頭に血がのぼっている男子生徒は、それらを払いのける様に、私に突っかかってきた。 「俺ら、客なんですけど? 実行委員長自ら、そんな態度取んの。払うもん払ってよ」 「出来ません」 「……へぇ。じゃあさ、払えないなら、こうしよ? 実行委員長の坂上さん? アンタ、土下座して?」 ギャラリーがざわつく。 おい、先生まだ? 誰かが言っているのが聞こえる。
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