それでも君が

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私は1年達を自分の後ろに隠した。 「……。出来ません」 「……ふぅん? あっそ。なら別にいいやー」 ニヤリとリーダー格の男子生徒の口元が上がる。 身構えたその瞬間、バシャリ! と茶色い液体が身体にかかった。 足元に転がる紙コップ。 コーラをかけられたのだと気づくまで、数秒かかった。 「お互い様だよね? 謝んなかったのはそっちでしょ」 顔に向かってかけられたから、髪も濡れて、白い制服のブラウスにもシミが出来ている。 「わー、アンタ、下着、透けてるけど。いいの?」 大声で叫ばれて、顔が熱くなる。 怖くて、足が震えて、恥ずかしくて、泣きたくなった私の前に。 「アンタ、のあ先輩に何してんの?」 広い背中。 ライトブラウンの柔らかそうな髪の毛の男の子。 「泉くん……」
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