それでも君が

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ポンポンと優しく私の髪から水分をタオルに吸わせながら、泉くんが呟いた。 「本当はずっとのあ先輩に会いたかったし、話したかったです」 「……」 「でも勇気が出なくて。今度こそしっかり振られちゃうと思うと、怖くて……のあ先輩の教室に行くの止めました」 でも、と泉くんは続ける。 「もう、逃げたくなくて。翔太先輩や藍本見てたら、自分が格好悪すぎて恥ずかしくて悔しくて……情けなかった。今もめちゃくちゃ緊張してます。久しぶりにのあ先輩に会ったら、やっぱり好きだな、可愛いなって思いました。……のあ先輩には翔太先輩がいるから、諦めなきゃって思うけど、諦められませんでした。しつこくってごめんなさい。でも、好きです」 好きです、と真っすぐ私の目を見て泉くんは言った。 「私、最初から男の子が苦手な訳じゃなかったんだ」 タオルを髪に当ててくれる泉くんの手を私は握る。 「……翔太先輩から、少しだけのあ先輩の昔の事。トラウマになってしまった出来事を聞きました」 「うん。そっか」
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