それでも君が

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伊吹くんも、麻ちんも本当に世話焼きだなぁと苦笑する。 「ああいう出来事があって、自分が誰かを好きになるなんて、きっとない。恋愛なんて絶対しないって決めてたの。……決めつけてたの。でも、あの日1年生の君が、泉くんが来てくれて告白してくれて、華原先生のおかげで一緒に帰る事になっちゃって」 「あの時、職員室でのあ先輩『面倒くさー』って顔しましたよね」 「バレてた?」 「バレますよ。そりゃ」 「帰り道、泉くんが提案したでしょ? 『俺、先輩の犬になります』って」 「変態チックだと事情を知ってる周囲の人に散々言われました」 「うん。この子、危ない子だなって私も思った」 「ちょ、のあ先輩まで……!」 「見返りとか、愛情を返してもらう事とか相手に全然求めないからこの子、危ないな。こういう男の子を好きになっちゃったら別れる時きっと辛いだろうなって思った」 「……え」 「実際、泉くんが会いに来てくれなくなって堪えた」
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