それでも君が

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座り込んでしまった泉くんの頬にキスを落とす。 「の、のあ先輩……!?」 「泉くん、赤い」 「だ、だってのあ先輩が今……!!」 「自分は口にしたくせに」 「そうだけど! そうだけど! あーっ、もう。抱きしめていいですか?! 抱きしめますよ、そんな事されたら」 「駄目だよ」 「なんで?! この流れで拒否?!」 「私まだ着替えてないもん。泉くん、濡れるでしょ?」 「そうだった! 着替えましょう。のあ先輩、お願いだからすぐに着替えて」 「泉くんがいると着替えられないんだけど」 「あっ……。俺、ちょっと外にいます。気が付かないですみません」 私にジャージを手渡すと、泉くんは保健室を出ていく。 制服のリボンを解いたところで、ガララ! と勢いよく閉まった筈のドアがスライドされて私は非難の声をあげた。 「泉くん! 早いよ!」 「すみません! でも、無理です。もう、俺我慢できません」
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