それでも君が

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ふわりと身体が包みこまれる。 私をぎゅっと抱きしめる泉くんの表情はここからは見えない。 「もう、濡れても知らないからね?」 「はい」 「コーラの匂いもついちゃうよ?」 「はい」 「泉くん」 「はい」 「大好き」 背中に当たる泉くんの腕が、私に気持ちを伝えてくれる。 抱きしめ返すと、泉くんが笑う気配がして私は口を尖らせた。 「笑う所?」 「なんか嬉しくて。……のあ先輩小さい。可愛い」 「私は小さくない。泉くんが大きいんでしょ」 「のあ先輩負けず嫌い」 「私は小さくない。普通で……」 不意打ちで唇を塞がれて、私は続きが言えなかった。 「……さっきの仕返し」 「……。どっちが負けず嫌い?」 どちらともなく笑いだす。 君といると、心の中がこんなにも温かくなるんだ。 だからね、これからも。 傍にいてね、泉くん。
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