想いの結晶

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 あの夜に、わすれものがある。 「ぼくたち、別れよう」  素敵な夜になるはずだった。あなたの妻になりたい、と彼に指輪を渡すつもりだった。 「もう耐えきれないんだ」  優しいあの人が突然不満を爆発させることは知っていた。早く言ってよ、とよく思っていたが、ギリギリまで我慢してしまう不器用さも好きになったのだ。 「君のような――――――」  わたあめみたいな雪が降ったクリスマスイブ。 「――――――だから。……さようなら」  私はあなたの言葉を忘れた。
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