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魔族とフェアリーの武器力の違い
トレーニングスクールの弓道場は、木立を抜けた、広場にあった。
的は、5センチおきに30センチ四方の板が何枚も重なるように、設置されている。
生徒たちは弓を片手に、矢立を背負い整列していた。
「それでは、アクア先生に、模範演技をやってもらおうか?」
アラゴンは挑戦的な目つきで、あごをクイッとアクアに向けた。
「はい、失礼します」
アクアは弓を引いて、的に狙いを定めた。
このくらいなら、問題はない。
ヒュンッ・・・
矢は的のど真ん中を貫いた。
判定役の生徒が的に走り寄り、確認をしている。
「先生、1枚で止まっています」
その報告に、アラゴンは不満げに頬っぺたをボリボリかいていた。
他の生徒の反応も、微妙だが・・・
アクアは戸惑っていた。
正確に、ど真ん中に入っていたはずだが・・・・
「正確さも重要だが・・・アンタの弓はパワーがないな」
アラゴンは弓を手に取ると、力強くグンと引き絞った。
ビュンッ、ドッ
音が違う・・・
「アラゴン先生、10枚です」
矢は、的の板を10枚、しかも中央をすべて貫通していた。
「アンタの弓は、実戦向きではない。こんなのはお遊び、ゲームレベルだ」
アラゴンは、上から目線で言い放ち、アクアは下を向いた。
「そもそも、破壊力がなさすぎる。もっと、魔力をのせなくては」
魔族のパワー、筋肉量ではかなわないのだ。
弓はフェアリー領のお家芸なのだが、ここでは通用しない・・・のがわかった。
「アンタは記録係をやれ」
すぐ、紙ばさみを、子鬼が差し出したので、アクアは受け取った。
アラゴンの檄(げき)は続く。
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