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声も、か細く、揺らぐように聞こえる。
アラゴンはイラつくように、にらみつけた。
「声がちいせぇ、そんなんじゃ、ダメだ!!やりなおし!!」
アクアはこぶしを握り締めて、大きく息を吸った。
「初めまして!!」
はぁと、息継ぎをする。
「アクアと言います!!」
「よろしくお願いしますだろうが・・・」
アラゴンは偉そうに、ふんぞり返って言った。
「よろしく!お願い!します!」
アクアは、酸欠になりそうな感じで、胸を押さえた。
「ここでは、声がでかくないと務まらん!悪ガキ魔族をなめるなよ」
アラゴンはそう言って、アクアの履歴書を取り上げた。
「んで、教える教科は、なんだ?」
「武器全般、軍事学です」
「はぁ、なんだとぉ」
アラゴンの声が裏返り、初めて、いぶかし気にルビーの瞳が細められた。
目の前の、ひねったらボキッと折れそうな、フェアリー、それも女だ。
「得意なのは・・・弓か」
アラゴンは口を尖らして、首をボキボキしてひねった。
「はい、フェアリーの大会で優勝しました」
アクアは、きっちりと、気を付けの姿勢を崩さないまま、答えた。
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