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「わかった、明日から俺の補佐をしろ」
アラゴンはそう言って、何か思いついたように、口角をあげた。
「座学はアンタがやれや、実技は・・そうだな、考えておくが・・・」
こいつに面倒な授業をやらせれば、俺もちっとは楽ができるというものだ。
それから、もう一度、アクアを上から下へ見下ろした。
「そんなヒラヒラの恰好ではだめだ。黒のスーツにしろ。
髪も束ねろ、危険だからな」
悪ガキどもがいたずらで、長い髪に火をつけるかもしれない。
「わかりました」
アクアは、少しほっとしたように答えた。
門前払いは逃れた。
「それでは、失礼します」
アクアはキッチリと礼をすると、退出する寸前に、アラゴンが声をかけた。
「俺は厳しいので有名だからな。ついて来られなければ終りだ。
詳しい内容は、子鬼に聞け、以上」
頭を再度下げて、アクアはそっとドアを閉めた。
廊下に誰もいないことを確認すると、大きく息を吐いた。
手が震えて、立っていられないので、しゃがみこんだ。
貧血になりそうなほど、緊張していたのだ。
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