サキュバスの授業見学

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それから1時間後くらいして。 「アラゴン先生、保健室からお電話です」 子鬼の秘書が、声をかけた。 「なんだよぉ、誰か、怪我したっていうのか」 「アクア先生が倒れて、保健室に運ばれたそうです」 「かーーーっ、何だよ、まったく!」 頭をボリボリかきながら、アラゴンが大股で廊下を走っていくと 保健室前の廊下で、イリスが壁に寄りかかり、手錠をジャラジャラ鳴らして立っていた。 「えーーと、何か刺激が強くて、気持ち悪くなったみたい。 じゃ、あと、お願いしますね」 イリスは、鞭でパシパシと壁を叩きながら、ヒールの音高く去っていった。 「面倒を見ろと、俺は言ったぞ」 そのぼやき声は、イリスには届かなかった。 「アクア、いるかぁ」 アラゴンは保健室のドアを開けると、大声をあげた。 「すみません・・御迷惑おかけして・・」 アクアがカーテンを開けて、よろめいて出て来た。 「おめぇら、フェアリーだって、似たよーな事やっているんじゃねーかぁ?」 けっ、かまちょぶりやがって・・・と、アラゴンが言おうと思ったが、口を閉じた。 アクアのその顔は、蒼白で、椅子に崩れるように座り込んだからだ。 「私たちは、満月と新月の時だけなのです。 ・・・、それも最低限なので、」 アクアは、目を閉じて、ハンカチで口を押えた。 「あんな事や・・こんな事とか・・・しないので」
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