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一目惚れ
都会は怖い所なのだと、身をもって知った。
「だからぁ。
57万円、君たちが払ってくれないと?」
目の前の、ちょっと怖そうな金髪の若い男性が私と友人の萌香(もえか)に先程から凄んで来る。
「…私達、そんなお金ないですよ。
ねえ、葵衣(あおい)?」
萌香は私の服の袖をギュッと掴み、震えた声でそう言っている。
なんで私達がこんな目に合っているのか。
そもそも。
「私達と一緒に居た男の人。
カズ君って人!
煙草買い行くって言って、お店から出て行ったんです。
あ、このバーって会員制ですよね?
じゃあ、カズ君はこのお店の常連さんじゃないんですか?
だから、カズ君の連絡先とか知ってるんじゃないんですか?」
私と萌香は数時間前に、一緒に飲みに行かない?と声を掛けて来たカズ君というイケメンの大学生くらいの男性に連れられ、この会員制のバーにやって来た。
このバーの会員なのは、そのカズ君で。
いわゆる、私と萌香はナンパされてこのお店に来たのだけど、萌香はけっこう本気でそのカズ君を気に入ったみたいで、私は萌香を後押ししていた。
そうして楽しく、そのカズ君と私達の三人でこのお店で飲んでいたら、
煙草を買いに行って来ると、カズ君が席を立ったのが一時間程前で。
私も萌香も、カズ君が帰って来ないし、そろそろこのお店から出ようとなって、私達のテーブルの近くに居た店員さんに声を掛けた。
そしたら、暫くして、この金髪の人が来て、会計が57万円だと言われて。
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