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「前から葵衣ちゃんは中と両想いだから。
あの後、葵衣ちゃんが出て行った後、中に言われたの」
「え?」
「俺は加賀見一夜じゃないから、二度と俺に連絡してくんな、って」
「中さんが、真湖さんに?」
そう言ったんだ…。
確かに、中さんは真湖さんとは関係が切れたとは言っていたけど。
もっと穏便に終わっているのだと思っていた。
その辺り、流石に訊けなかったけど。
「そりゃあ、そう言っても、中はまだ執着はあるのかもしれないけど」
「ですよね?中さん真湖さんの事を本当に好きだったから」
「ううん。中が執着しているのは、私じゃなくて、一夜に」
「一夜さん?」
そう言えば、あの夜もそんな事を言っていた。
"――一夜に捕らわれているのは私だけじゃない。
修司も中もそう。
この人達は、私が一夜の女だったから私に興味を持っただけだから――"
「中は、私を通して加賀見一夜を見てるの。
中が本当に振り向いて欲しいのは、私じゃなくて、一夜に」
「あの、よく意味が分からないですけど…。
一夜さんに中さんは認められたいとかそんな感じの事ですか?」
振り向いて欲しい、の意味は?
それよりも、一夜さんはもう亡くなっているから…。
「中はもう二度と一夜に振り向いて貰えない。
だから、私に執着してただけだから。
一夜が本当に好きだった私に。
私に嫉妬でもしてたのかもね?
その憎しみと愛を勘違いしてて」
「嫉妬?」
中さんは、ブラコンとかなのだろうか?
私は弟が居て弟が大好きだけど、弟の彼女に嫉妬なんかしない、って言ったら嘘になるかな?
いい子じゃないと許さないとか、そんな気持ちはあったり…。
んー、それとは違うのかな?
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