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「あ、中(あたる)さん!」
金髪の店員の男性は、私達に凄んでいた低い声ではなく高く大きな声を出し背筋を伸ばした。
その、"あたるさん"と呼ばれた男性は、不機嫌そうに金髪の男性を見ている。
「うちのグループは、詐欺はやるなって決まりだよな?」
「いや、これは詐欺じゃなくてですね!」
「前々からこの店で、馬鹿そうな女を顔の良い奴使って引っ張り込んで、
ボッタくってるって聞いててな。
俺が今日この店来てるのお前知ってて、いい度胸だな?」
グループとか、この中さんって人がなんなのか分からないけど。
馬鹿な女は私と萌香の事で、顔の良い奴はカズ君の事だろう。
私と萌香は、カズ君に騙されてこのお店に連れて来られ、
多額の請求されてって事なのか…。
で、このお店とカズ君は…グル?
さっきの中さんの話だと詐欺だとかなんとか…。
けど、この中さんが私と萌香を助けてくれそうな雰囲気。
「三村に、そういう事が起こりそうなら俺に連絡しろって言っててな」
中さんのその言葉に。
「木下さん、すみません」
カウンター越しに立っている若い男性が、金髪の男性に向かって頭を下げた。
金髪の男性が、その木下さんなのだろう。
「いや、でも、この子らドンペリとか開けてるし。
けっこう食べているし」
木下さんの言葉に、さっきのシャンパンはドンペリだったのか?と思う。
ドンペリ、その名前だけは知ってたけど。
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