金子と有栖

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 おでこで思い出した訳じゃないけど、今日の放課後は金子君と勉強する約束をしていた。  帰りのホームルームの後、金子君が先生から呼び出されていたので先に自習室で待ってたら、いつのまにか寝てしまっていたらしい。  金子君は何も言ってこないけど、約束してたのに寝てしまったあげく、金子君の存在に気づかなかったのは失礼だ。 「あー、ごめん。せっかく来てくれたのに……今度寝てたら起こして」  どんな顔をすれば良いか分からなくて、金子君と目を合わせられなかった。  こんな時、金子君はどんな返事をするんだろう。いつもの低燃費会話で、適当な相槌(あいづち)でもするんだろうか。あるいは、なんだかんだ金子君も寝てたし、快く受け入れてくれるかも知れない。  そういえば、さっきはいつもより話してくれてた気がする。もしや寝起き限定サービス? もう少しの間、燃費悪くても良いですよ。 「……有栖君って、放課後はいつも何してるの?」  さっきの俺の謝罪は独り言と(とら)えられたらしい。  しかし金子君が話を振ってくれた。寝起き限定サービスは継続中のようだ。 「放課後かぁ。普通に家帰ってゴロゴロする日もあるし、友達とご飯行ったり買い物行ったりとか?」 「そうだよね」  "そうだよね" とは?  あれ、これって聞き返した方が良いのかな? 他の人の場合はどう返してたっけ? 意識すると余計に、普段の自分がどうしてたかわからなくなる。  サービス終了のお知らせ。沈黙タイム突入!  ……かと思いきや、金子君の様子がいつもと違う。
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