金子と有栖

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「もし金子君が同士だったら、語り合いたいなーって思ってたんだよ。俺の周りに同じ趣味の人いなくてさ~」 「僕としては、有栖君も二次元に興味のないヤンキーの部類だと思ってた」 「結構ストレートに言うね?」 「ごめん、本音。でも金髪似合うから良いよね」 「マジで? ありがとう。勉強会の頻度増やす?」 「どこからそうなった? イジメ? 勘違いの親切?」 「週5でいかが?」 「イジメ確定」  金子君の口数がいつもより多いのが嬉しくて、つい色々話したくなる。浮足立った今の俺は全てを許せる仏のような気分なので、金子君も今日だけはウザ絡みを許してほしい。 「勉強ついでに話し相手になってほしいんだけど、ダメ?」 「まずは週2で様子を見ようか」 「う~ん……じゃあ教室でも話しかけていい?」 「教室でそういう話はちょっと。それに有栖君目立つから絶対関わらないで」 「拒絶が強すぎない?」  金子君は相変わらず読めない表情をしているけど、心なしか声が弾んでいる。かく言う俺は、顔も声も気持ちもハッピー野郎だ。  思えば、金子君と並んで昇降口へ向かうのは、その日が初めてだった。
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