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―――なんだチミはってかヌ? そうヌ、オラッちが変な妖精さんヌ
「突っ込まないぞ。 俺はあいつのツッコミだけで充分だからな」
―――ヌヌ……っ、そそそんな、なななんて大胆な発言をするんヌ……! 彼女につっこむだなんて、最近の男子はまぁ~っ盛りがついちゃって……! 激しすぎて聞いたオラッちのほうがべらぼうに恥ずかしいヌ……っ
緑色のタヌキが無意味に恥じらっている。 しばし考えて、奴がのたまう意味が理解出来るとなんだか無性に腹が立ってきた。 なんだってこんな見た目ファンタジーで中身がスカタンなタヌキに言いくるめられないといけないんだ……!
―――ヌヌ~っ、中身がスカタンとはやっぱり失礼ヌ~! まったく、あゆみはなんだってこんな奴に惚れてるんだヌ~?
この緑タヌキ、どうやら俺が考えていることを多少読めるらしい。 しかし今は、そこはどうでもいい。 それよりも聞き捨てならない言葉が含まれていたからだ。
「はあ?! なんでお前、あゆのこと知ってんだよ?! あゆが今どこにいるのか分かってんのかっ?! どういうことなんだ、こんのヌーヌータヌキ!」
―――口も悪いヌ……教えてや~んないっヌ
俺はベッドに座り直し、緑タヌキ妖精のしっぽをむんずと捕まえた。
「あゆはどこだ」
―――知らんプーンだヌ
プイッとそっぽを向く奴の頭をガシッと掴み、さらにしっぽを持つ手に力を入れる。
「……あゆは? 握りつぶすぞコラ……」
奴の頭を握る手にもメキメキと力を込める。
―――痛たたた、痛いヌやめるヌヌー!
むっきー、ガチでマジなことはよくよく分かったから、とにかくやめてヌヌー!!
緑タヌキが喚き出した。 今はとにかく鬱陶しかろうがなんだろうが、コイツに縋るしかないのも事実なのだ。 奴を握る手をゆるめてやると、奴はぷぅっと膨れっ面をしてから思い切りアカンベェをかましてきやがった。
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