新種の生き物の卵

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私の名前は『唯華(ゆいか)』、静岡の県立高校で美術部に所属する16歳の高校1年生の女子だ。 私は主に油絵を描いているけれど画用紙に描くだけでなく、造形物や自然の物に油絵を描くこともある。 7月下旬から夏休みに入った私は静岡県富士宮市の自宅から、昼間は朝霧高原に行って写生をすることが多かった。 暑さが厳しい8月初旬の晴天のある日、私は油絵を描く道具を持って朝霧自然公園に足を運んだ。 富士山の絵を描くのは飽きたので、何か別の絵を描きたいと思っていた。 私が公園内をぶらぶら歩いていると公園の周りにある木の下に卵のようなものが落ちていて、私が手に取ると茶色で鶏の卵より少し小さいサイズのようだった。 私は見たことがない卵で、動物の卵なのか鳥の卵なのかまったく見分けがつかなかった。 私はこの卵にアートを描こうかと思いついて何か風景のようなものを描こうかとも考えたけれど、少しいたずら心がわいた私は、恐竜の卵のようなアートにしようと考えた。 早速油絵を描く道具を準備して卵に色を塗りはじめた。 卵全体を石のような灰色に塗って卵がデコボコしているような明暗をつけ、緑色の斑点と青色の亀裂のようなラインを描き込んだ。 そもそも恐竜の卵を見たことがない私は、想像力を働かせて描いた。 出来栄えは我ながら満足いく完成度だと感じた。 私はこの卵を木の下に置いて写真を撮ったことで満足し、その卵は木の下に置いたまま忘れて自宅に帰宅した。
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