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プロローグ
とある、中高一貫校。私立であることも相まって、広い敷地と充実した設備。数の多い教室を繋ぐ、長い廊下。
今、夕陽に照らされるそこを歩く一人の女子生徒がいた。
高等部を示す、黄緑のスカーフを、セーラーの制服の胸元で結んでいる。
「ここかな」
高等部二年の岩須麗奈だ。
麗奈は、ある教室の扉をノックした。
どうぞー、と中から声がする。
麗奈は右手の傘を握り直し、目の前の扉を開けた。
「こんにちはー、忘れ物、届けに来ましたー」
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