バースデーケーキ

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 オーブンから甘い匂いが漂ってくる。  ケーキを焼いている間、苺をスライスし、ケーキに塗るシロップを作る。  今日は1人娘の誕生日。この日は毎年欠かさず手作りのケーキを作っている。 「さてと、頑張って仕上げていきますか!美味しくできるといいな。」  私は鼻歌を歌いながら焼きあがったケーキを冷まし、真ん中を切ってシロップを塗ると苺を敷き詰める。その後ホイップクリームを苺の上に被せるとその上にケーキを重ねデコレーションを施した。 「やった!見て、今年はとても綺麗にできたと思う。上出来、上出来!」 私は誰もいない古びたアパートの中、1人でケーキを掲げて喜んだ。 ケーキをテーブルの上に置くと、電気を消してケーキにロウソクを何本か立て火をつけた。 暗闇の中1人そのロウソクの灯を見つめながら私は二度と会うことはないだろう娘に微笑んだ。 「お誕生日おめでとう。今日で31歳だね。」
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