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「でも、ディケンズ様は私をご指名くださるのでしょ?」
喉の奥にわだかまる言葉たちを差し置いて、平然と私はそう言った。表裏。けれど多分、この軽薄な表こそが私だ。涙よりも先に、今この場をやり過ごすための方法が出る。
ディケンズはハハハと笑う。
「お前は聡いなぁ。小賢しいって言ってもいい」
「お嫌いですか?」
「いや、俺はお前のそういうところが気に入ってるんだ」
「ディケンズ様のようなお方に好かれることは光栄ですわ」
「あぁ、そうだろうとも……」
彼の脂ぎった手が、私の頬を撫でる。官能的な表情を作ってみせると、彼の下品な視線が絡みついてくる。手は首筋から胸元へと降りてきて、乳房を掴まれる。
「マキア……」
「分かっていますわ」
ディケンズの物欲しげな顔を浮かべた瞬間彼の口に指を押し当てた。
「ああ、良い子だ。マキア」
そして、彼の股座に顔を埋めるのだった。
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