#25. 忘年会の夜

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「分かる〜!この歳になると結婚式増えてくるよね。私もこの前慌てて買ったもん。一応1着持ってたけど参列者が以前とほぼ同じでさ」 「あ〜あるある。写真も撮るから、同じの着てるとバレるもんね」 「服だけじゃなく、ヘアメイクで美容院も行かなきゃだしお金かかるよね〜」 「ご祝儀もあるしねぇ」 「そうそう!ところで、みんなはどうなの?彼氏とか、結婚とか!そういう近況も聞かせてよ〜!」 服装をキッカケに結婚式呼ばれた時あるあるになっていた話題が、今度は恋愛トークに切り替わる。 独身女子にとって、やっぱり恋愛トークは鉄板の話題なのだ。 「菜月はこの前会った時彼氏いるって言ってたよね!その後どうなの〜?」 同期女子の1人が私に問いかけてきた。 敦史が既婚者だと判明する前に会った際に話したのだろう。 あの頃は交際は順調だと疑いもしなかったから、聞かれたら普通に嬉々として語っていた。 今になるとその自分のマヌケ具合がバカすぎて、思わず苦い顔をしながら私は口を開いた。 「うん、別れた!」 「「「ええっ!」」」 明るい口調でアッサリ言ってのけた私に、同期女子たちは目を丸くする。 「この前聞いた時はすごく順調そうだったのに。ビックリしちゃった!」 「まぁ、色々あって。でも全然後悔してないよ!むしろスッキリ!」 私は明るく言い切った。 マヌケな私だけど、既婚者と分かって即ちゃんと別れたのは英断だったと思う。 やり直そうと言ってきた時もハッキリ拒否できた。  ……もっと早くに自分にとってかけがえのない人に気づけていれば言うことナシだったんだけどね。 それを後悔しても今さら遅い。 「そうなんだ。そういえば菜月って、仕事関係者は絶対に対象外って前に言ってたよね?次の彼氏もそうやって探すの?」 以前私が話したことを覚えていた同期女子が重ねて質問してきた。 そう、以前に私はそんなことも大きな声で宣言していたのだ。 今となっては自分の盲目さ、視野の狭さが恥ずかしい。
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