#26. 境界線の向こう側

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疑問も解消し、改めてハッキリと成田に彼女がいない事実を知って、私はジワジワと広がる嬉しさを噛み締める。 せっかく自分の気持ちに気づいたのに、気付くのが遅すぎたと諦めていた。 でも、もしかすると……  ……まだ間に合うかも?? 突然舞い降りて来た機会。 もしかしたらもう2度とないかもしれない機会。 遅すぎたとまた同じ後悔はしたくない。 成田が誰かのモノになってしまう前に、特別な存在だと思っていることを伝えたい。  ……いつ、どうやって伝える?ただの同期だと思ってる相手からいきなり言われても成田もビックリするかもだよね……? 私が考えを巡らせていると、遮るように今度は成田が問いかけてきた。 「そーいうお前は?さっきのアレなに?」 「ん?アレって?」 「仕事関係者は対象外ってのもうやめたって。あれどーいう意味なわけ?」 その言葉にピンと来た。  ……あ、ここだ!今しかない! 直感的にそう感じ取った私は、ぐちゃぐちゃ頭で考えるのを手放し、思うがままに口を開く。 「そんなの成田のせい」 「は?俺のせい?」 「そう。仕事関係者であるはずの成田を対象外に見れなくなった。異性として意識しちゃうようになったから」 「………」 「しかも、普通に異性として成田を”好き”ってわけでもないみたい」 「………じゃあなに?」 「ただの“好き”なんてとっくに超えた唯一無二の大切な存在」 「………なんだそれ」 感情のままに思いの丈をぶちまけた。 突然の告白に面食らったのか、成田は呆然としている。 それもそうだろう。 割り切った関係でいた同期から突然こんなことを言われたら驚くのも不思議はない。  ……赤裸々に伝えたからには、もう成田とは今までの関係ではいられないだろうな。 反応を伺うようにチラリと成田を見上げる。 ワザとらしくはぁと深いため息を溢した成田は呆れるような目で私を見た。 あぁ困らせてるかなと申し訳なく思った次の瞬間。 グイッと体を引き寄せられ、私は成田の腕の中にすっぽりと収まっていた。
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