願掛けに

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願掛けに

お俊オメェは今日も願掛けに行くのかぇ? あまり気にし過ぎると今度はオメェの方が()られてしまうぞぉ、それに三里もの願掛け参りでは俺も心配(シンペェ)だえなぁ! そろそろ冬に入る霜月成れば御酉様も始まるってことだぇ! 江戸は北神田に居を構える長唄が師匠小十郎の女房お俊はどうしても跡取り・・イエ世間並みに子供を授りたいと日頃より思っておりました。 その思いは授かる為には良いとされることは全てと言って良いほど行っております。 それでも子宝に恵まれ無いのはもはや神仏に願掛けをするしか無いってところまで来ておりました。 お俊は三里離れた平井宿は「御聖天様」に毎月の願掛け参りになりました。 「御聖天様何卒何卒我が身に子を授けてくださいませ」 初冬の暮れるのは早いので。 お俊は少し早めに「御聖天様」を後にします。 いつものように中川は渡し舟にて帰りの舟を待っております。 渡し舟が着いてはお俊は乗り込みます。
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