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星に願いを
「わぁー!」
ブーツとあるものを抱え、ニーナはトナカイの背に乗っている。
両手のふさがっているニーナが落ちないように、トナカイは安全運転で空を飛ぶ。
「空、飛んでるー!」
「朝、お母さんたちが起きるまでには、帰りましょうね」
また、送り届けますから。
トナカイはそう言いながら、大きく空を翔ける。
深く考えていないニーナは、わくわくするばかりで、トナカイの言葉に、ただうなずいた。
トナカイは、ちらりと背のニーナを見て、懐かしく思いほほ笑む。
今のサンタが、まだ幼かった頃。
ちょうど、今のニーナと同じくらい。
先代サンタにつれられて初めてムツミやイツキと対峙した。
先代とともにソリに乗せて空を飛び、今のニーナのようにわくわくしていた。
今のサンタは、あの頃の気持ちを忘れてしまったのだろうか。
思い出して欲しい、とイツキは目を細めて、ホワイトクリスマスの夜空に、それを照らす月に、星々に、密かに願った。
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