ブーツ

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ブーツ

ニーナはまず、サンタのブーツを差し出した。 「忘れ物」 「ああ、ありがとう」 サンタは先代を意識し、人当たりの良い、子どもに好かれそうな笑みを目指し、精いっぱいの笑顔を張り付けてニーナと接する。 「サンタさんにね、お手紙書いたの」 サンタは首を傾げる。 寒い足を、早速ブーツに突っ込もうとしていたサンタは、ブーツの中をよく見た。 画用紙が、筒状になって入っていた。 サンタの隣にはムツミがやって来て、片足立ちのサンタを支えてくれた。 サンタは、ニーナからの手紙を読む。 『サンタさんへ プレゼント、ありがとう』 そう、書かれていた。 サンタの中で、何かが、壊れた。
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