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感謝の言葉と、声と、音。
「……これ、俺か?」
サンタはやっと、言葉を発した。
うん、とニーナは頷く。
「サンタさん、ありがとう!」
その言葉につられるように、サンタはそっと雪だるまに手を伸ばす。
サンタの帽子をかぶった雪だるまは、サンタの手にしっかりと渡った――。
サンタは、目の前の泣き笑いの少女を見た。
さっき、自分が泣かせてしまった。
赤くした目元。
少女はもう一度、ありがとう、と伝えてくれた。
さっき、手紙で見た文字が。
ニーナの声で、耳に――胸に届いた。
『サンタさんへ
プレゼント、ありがとう』
もう、プレゼント配り機だなんて、ひがむような捉え方はしない。
『サンタさん、ありがとう』と、手紙の文字の一部だけが、音を持って、自分に届いた。
雪だるまのプレゼントとともに、サンタの手に渡ったようだった。
何年ぶりだろう。プレゼントをもらう側になったのは。
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