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『だが、これで、一安心だよ‥‥』
上野介は、そのピストルを書棚の引き出しに仕舞った。
その書棚の陰に、例のタマゴが現れた。
やがて某旧友は帰って行った。
その夜‥‥
就寝時間を迎えた上野介は、例のピストルを枕元に移した。
そして寝息を立て始めた。
すると不思議なタマゴも、ピストルの傍に移動した。
が、その時タマゴは少し大きくなっていた。
やがてタマゴにヒビが入ると、そこからタカミの腕が出て、そのピストルをタマゴの中に仕舞い込んだ。
タマゴはコロコロ転がると、横の空間に出来た穴に入って消えた、
ついに時刻は、十二月十四日の午前四時を迎えた。
すると門前より、奇妙な音が聞こえ始めた。
同時に上野介は目を覚まし、
『赤穂の浪士め、ついに来よったな』
すぐにピストルに手をやった。
『ん? 無いぞ!』
彼は必死で探し回ったが、何処にも無かった。
そこへ数人の家来が駆け付け、
『殿、すぐに炭焼き小屋にお逃げくだされー!』
しかし、やがて上野介は赤穂浪士によって、首を取られることとなった。
――第3話、おわり――
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