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年末が近付いた午後9時‥‥
西に向かって快走しているバスの車内では、何人かの客が、思い思いの行為をつづけていた。
その中の派遣社員マチカは、スマホでゲームを楽しんでいた。
「あーあ‥‥いつまでもこんな生活。もう死にたいな‥‥」
やがて『ゲーム・オーバー』となった。
するとバスがトンネルに入ったらしく、車内は暗くなった。
彼女が、再度スマホの画面を見ると、一個のタマゴが出てきて、そこに顔が現れた。
『今晩は。あたし、アサエでーす』
「なら、ナニこれ?」
『このタマゴの中身‥‥』
「‥‥?」
『見たいですか?』
「どうでもいいわ」
『そんなこと言わないで、【見たい】をポチリしてください』
「はいはい」
マチカは、仕方なく画面の【見たい】をポチリした。
するとアサエがニッコリ笑い、
『ありがとうございます。では、どーぞ』
画面のタマゴが、だんだん近付き、画面いっぱいになった。
その瞬間、画面がピカッ! と光った。
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