737人が本棚に入れています
本棚に追加
「私はそんな奥さんを可愛いと思うよ」
「二、二コラ様……」
「二コラ」
「え?」
「様はつけないで。夫婦になったんだから気軽に呼んでほしい」
そう言われて余計に照れるリーズだが、唇をぎゅっとして少し間を置くと、彼の目をみてしっかりと言う。
「二コラ」
「──っ!」
その照れた顔があまりにも可愛いので、二コラも伝染して少し顔を赤くする。
しかし悟られまいとすぐさま腕で顔を隠しながら顔ごと逸らした。
「まあ、その……昨日はあんな風に言ったけど、まだ正式には届け出は出していない」
「そうなのですか?」
「ああ、君の心を無視して無理に結婚しても良くないからね。一旦お試し期間ということで二人だけの秘密だよ」
「秘密……」
その響きがなんだかリーズには魅力的というか、いけないことをしている背徳感を感じてワクワクした。
それと同時に二コラが自分を思って大切にしていることをひしひしと感じる。
「二コラ」
「なんだい」
「私もあなたと家族になれるようにがんばります!」
「ああ、これからよろしくね、リーズ」
こうして夫婦としての日々が始まった──
最初のコメントを投稿しよう!