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「この辺境の地をまとめる長だけど、気取ってなくて優しくてね」
「二コラの兄ちゃんは俺に読み書きも教えてくれるしな!」
「そうなのよ、なかなか私も農業と市場への運び込みとかで手が離せないこともあってね。そんなとき隣の子のフランソワーズとビルの面倒を見てくれるんだよ」
「そうですか……」
騎士の本来の仕事は任地の統治であり、そこまで住民に密接にかかわることは少ないが、二コラは違った。
積極的に村の者の意見を聞き、取り入れて、助け助けられていた。
そんな仕事での二コラの様子を聞いたリーズの心にある気持ちが芽生えた。
(お役に立ちたい、二コラの)
それと同時に騎士の妻たるにはどうしたらいいのだろうか、そもそも妻とはどうしたいいのかわからなかった。
そんな戸惑いを見透かしたのか、キャシーが優しい微笑みで声をかける。
「自分のやれることをやればいいんだよ」
「え?」
「妻というのは難しいし、正解なんてないよ。二コラと相談してもいいし、自分で考えてもいい。でも彼のことを理解しようとして彼の癒しになってあげてほしいと私は思う」
「キャシーさん……」
「今すぐでなくていい。少しずつどうやって生きるか考えてごらん。いつでも相談に乗るし、手助けするからさ!」
リーズはキャシーと、そしてビルの顔を見ると頬を一筋の雫が伝う。
「リーズ?!」
「あ、なんだか安心してしまったのでしょうか。久々に泣いてしまったようです」
騎士の、二コラの妻であるためにはどうすればいいのか、彼女はこれから少しずつ向き合っていく──
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