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第2話 辺境の騎士に拾われる
(あたたかい……、きっとここが天国なのね。ふわふわで気持ちいい。そっか、私死んじゃったのね)
「……うぶ」
(なんだかはっきり見えてきたわ。目の前に誰かいる? 誰?)
「大丈夫?」
「わっ!」
リーズの目の前には見目麗しい金髪に蒼い目をした男性がいた。
「よかった、目が覚めてくれて」
「え?」
「森であなたが倒れていたので、拾ってきたんだ」
(拾ってきたっ?!)
その言い方は人間に対して大丈夫なのかと不安になるリーズだが、おそらく自分の命の恩人なのだろうと理解してお礼を言うことにした。
「あ、ありがとうございます。助けていただいて」
「いや、びっくりした。あそこは獣も出るから無事でよかった」
(獣……?)
自分が獰猛な獣に食べられる様子を想像して、頭をふるふるとさせる。
「起き上がれる? 俺は二コラ。この一帯を守る騎士をしている」
「騎士?」
(騎士って確か国民を守る優しい方よね?)
そんな風に心の中で思っていると、木の器に入って湯気の立った温かそうなスープが差し出される。
「食べられそうならこのスープを飲んでごらん」
「もらっていいのですか?」
「ん? もちろん、行き倒れている人からお金は取らないよ」
その言葉にリーズは安心してスプーンでひとすくいして飲む。
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