愛しの推しの性癖がヤバめかもしれない

初めての推し

　そんな推し活一年生の俺がSORAを見つけたのは偶然だった。
　あれは、Naturesのデビューイベントの日。
　ライブハウスとかそういった箱を用意してもらったわけじゃないNaturesのデビューイベントは広い公園で行われた。
　前々から告知はしていたので、予め興味を持った子達、練習生時代からのファン達が応援に駆けつけてくれて、そこでデビュー曲披露。曲終了後は握手会という流れになっていた。

　曲が終わり、前の列から順番に並び、握手会。一言二言くらいは話せるくらいの流れ。ファンが次々とメンバーと握手をして「頑張ってください！」「応援してます」古参のファンなんかは「デビューおめでとう！」などと一声かけて通りすぎていく。

　たまたま学校の帰り道で公園を通った俺はその光景に見惚れていた。
　夢中になれる物、者にやっと出会えた。そんな気分だった。

　三人グループの中で一番小さいけれど、振りが大きく、元気な笑顔で可愛い赤色の髪留めが、彼の可愛らしい顔つきに似合っていた。

　一目惚れってあるんだ……。イベントに参加してなかった俺は、遠目からその様子を見て、握手会で丁寧に対応する彼を見ていた。『NaturesのSORA』覚えた。時計を見て、遅刻ギリギリになりそうなバイト先に走って行き、帰ってからSORAについて調べた。

　小学生から習っていたダンスに定評があり、可愛らしい顔つきと高音ボイスが特徴的。現場での評価は、とにかく頑張りや。
　芸名のSORAは本名の星空から。
　SORA…星空かぁ。名前まで素敵だ。　
　それから、アイドルのファンの服装について調べ、ファンクラブに入り二回目のイベントに申し込んだ。
　デビューしたてで、ファンとの接触イベントが結構あるらしい。
　その二度目のイベント後の握手会で、服装が目立ち、男のファンが少なかったからという理由で覚えてもらえた。
　俺の生活の中心はNatures、いや、SORA中心になった。