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豪華絢爛とも呼べるトラウド国の来賓用のダイニングには、トラウド国の王とリオが食事の席についていた。
「いやあ、うちのフィルとも仲良くしているようでなによりです」
「フィル王子は博識と聞いておりましたので、様々な知識を教えていただいて非常に学ばせていただいております」
「それはよかった。王は元気か?」
「はい、本日の食事会も本来であれば出席したいとのことでしたが、どうしても外せない公務がございまして」
外せない公務と言うのは真っ赤な嘘であり、ルーディアム国現王──リオの母親はトラウド国王のことが心底嫌いであり食事会にもなるべく参加しないようにしている。
それをおくびにも出さずにリオは公務であると言い張り、そっとワインを口にした。
「ルーディアム国とはこれからも友好的関係を築きたいと思っていてね。こうして親睦を深めることができて嬉しいよ」
「わたくしも嬉しく思います。若輩者ではございますが、ルーディアム国とトラウド国の架橋となれるよう努力いたしますので、よろしくお願いいたします」
リオはワイングラスを置き、深く礼をすると、トラウド国王は満足そうにそれに応じて同じ気持ちであると告げた。
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