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その後リオは公務に専念するためフィルのもとへは行かずに自国で友好の儀のプログラム指揮を執っていた。
セレモニーではルーディアム国の伝統衣装を着て行うダンスや伝統楽器の演奏などを中心におこなうことにした。
すぐに人数は集まり、会場ではリハーサルが行われている。
「あ、リオ王子」
「どうだ、調子は?」
「はい、問題なくおこなっておりまして明日の本番には間に合います」
「そうか、よかった」
リオはそっと胸をなでおろすと、そのまま会場を見回す。
(明日にはこの会場に多くの民衆が入って盛り上がるだろう。楽しみだ)
そう思ったあとリオの頭の中にふとフィルの顔が思い浮かんだ。
(彼は来てくれるだろうか)
禁断の恋の相手であるフィルを思い浮かべて、リオは照れるでもなくふと哀愁漂わせた悲し気な表情を見せた。
どうして私は王子なのだろうか、は心の中で自分の運命を恨む。
こうして、リオの取り仕切りにより準備が進み、いよいよ友好の儀の当日を迎えることになった。
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