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「まずいっ!」
「フィル王子っ!」
フィルは父親に演説を止めさせようと通路を走り、舞台の方へと走り寄る。
「間にあってくれっ!」
フィルの願いも虚しく、民衆たちは口々に声を挙げ始めた。
「俺たちをだましていたのか?!」
「ルーディアム国ってこんなにイカれた街だったのか!」
「嘘つきっ!」
「女だなんて聞いてないっ! 私たちを搾取して好き放題してたっていうの?!」
民衆の不満の声はどんどん膨らみ、そしてやがてそれを煽るようにトラウド国王は叫ぶ。
「さぁっ! 民衆よ、今こそ声をあげよっ! ルーディアム国ノエル、リオを許してはならないっ!!」
トラウド国王の煽りに民衆は一気に熱をあげ、会場中が暴動化する。
民衆は観客席の枠を飛び越え、人の波となって舞台上へと押し寄せた。
「国王っ! 逃げてくださいっ!!」
「リオっ! 逃げるのです!!」
ほぼ同じ時に叫ばれた声と共に伸ばされた母娘の手は、民衆なだれに巻き込まれて繋がることはなかった──
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