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(このままではルーディアム国が……)
その時、リオの視線の先にはフィルが深くフードを被り、ゆっくりとこちらに近づきながら口を動かし、何かを訴えていた。
(お・れ・を・し・ん・じ・ろ?)
言葉を言い終えると、そのままフィルは走り出して舞台の上に飛び乗った。
「フィル?」
トラウド国王はフィルの登場に意外性もない表情を見せて、お前ひとりに何ができる?とでも言いたげな顔をする。
その父親に侮蔑の表情を浮かべると、今度は民衆を見渡してフィルは人生で最も大きな声を出して訴えた。
「だまされるなっ! このトラウド国王はそなたたちの国を自分のものにしようと企み、扇動しているっ!」
「それがなんだっ! 俺たちを長年だまし続けていた王族よりいいじゃないか!」
「目を覚ませっ! トラウド国王はこの国を属国とし、裕福な他国に植民地として売りつけようとしているっ!」
「なにっ?!」
フィルの告発に民衆は再びざわめきたつ。
その発言に反応をしたのは、当の本人であるトラウド国王だった。
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