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「なにを言う、フィル」
「証拠はあります。ここに」
そう言うと、胸元から書簡を取り出した。
フィルは民衆の中にいた領主たちの何人かを舞台に呼び寄せると、その書簡を証拠として見せた。
「本当だ……本当に貴族にルーディアム国を売るつもりで……」
書簡には紛れもないトラウド国のサインと共に、植民地として売るという契約が書かれていた。
領主たちは民衆たちに自分たちが確かに証拠を見たことを告げる。
「そんな、じゃあフィル王子の言うことがほんとなら私たちはどちらを信じれば」
「思い出してくださいっ! 今までこのルーディアム国が戦争になったことが一度たりともありましたか?! それはこの国がノエル国王、リオ王子たち王族が必死に守ってきたからです」
(フィル王子……)
「この土地は元々戦争の絶えない土地でした。そしてある一人の王妃が戦争で自分の息子を失ったことから、この国の王族に女性しか生まれなくなったのです」
(え……)
それはリオも初めて聞く事実であったため、隣にいるノエルを見るとその内容
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