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「なにをバカなことをっ! そんなこと民衆が信じるわけ……」
「聖女様の神話は本当だったのか」
「え?」
「そうです、この国に伝わる『聖女様の神話』は本当。その神話の聖女の末裔こそここにいらっしゃる二人なのです」
「わしらはなんてことを……神話の聖女様を魔女だとしてしまうとは……」
民衆は持ってきていた鍬や鋤を置いて跪き、ノエルとリオに祈る。
「聖女様……」
「国王、王子……」
その手のひらを返すように恭しくする民衆に向かってトラウド国王は暴言を吐き始めた。
「こんな神話を信じて馬鹿どもめっ! それに国をこのわたしに預けようとしたのはお前たちだっ! それを今更っ!!」
そう言ってトラウド国王は剣を抜き、領主に襲い掛かろうとするが、それを止めたのはリオだった。
「リオ姫?! どうやって?!」
「隠し武器の一つくらいもっています。それより、ルーディアム国民を愚弄し、傷つけることは私が許さないっ!」
そう言ってトラウド国王の腕をひねり上げると、そのまま勢いよく転ばせて縄で腕を結ぶ。
「くそっ! フィルっ! 助けろっ!!」
「父上、幼い頃よりあなたに心を許した覚えはありません。この母の形見に誓って、あなたを断罪する」
首にかけていたサファイアのネックレスを握り締めてフィルは父に言い放つ。
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