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(あれ、お母さんの形見だったんだ)
リオの中でフィルの部屋で見た写真の少女を思い出す。
その少女にも同じネックレスが首に輝いていた。
リオはノエルの縄を解くと、国民に告げた。
「皆、私は女だっ! しかし、国民を思う気持ちに嘘偽りはない。もしこれからも我ら母娘についてきてくれるというのであれば、この身、一生ルーディアム国に捧げよう!」
しんとなる会場に一つ、また一つと拍手が巻き起こる。
その拍手はやがて割れんばかりの大きな声援となり、泣いて喜ぶものや「ノエル様、リオ様!」と叫ぶ声も見受けられた。
「フィル王子……」
リオはその様子を眺めていたフィルのもとに向かい、礼を言う。
「ありがとう」
「いや、私はあなたたちを今日まで助けられなかった。詫びるのはこちらだ」
そうして二人で頭を下げ合い、そして顔を上げて笑い合った。
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