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最終話 私の名前はキャロル
トラウド国王はその後、第三者委員会の取り調べによってルーディアム国の植民地化のみならず、私腹を肥やしていたことも明らかになった。
さらに様々な国の令嬢に手を出しては訴えられており、その賠償金だけで私財を優に超す勢いになっていた。
そして、トラウド国は国王の失脚によって一時期国の存亡の危機に陥ったが、意外な形で存続しようとしていた。
「ルーディアム国とトラウド国の合併?!」
「ええ、フィル王子から申し出があったのよ、新しい国を作らないかって」
「それは……ルーディアム国がなくなるってこと?」
「名称はね。でも街も国民も守れる。それに、彼から新しい別の申し出もあってね」
「え?」
ノエルはもう男としての格好を捨ててひらひらのドレスに身を包んでいるが、リオはまだ王子としての格好を続けていた。
そんなリオは母ノエルから衝撃的事実を告げられる。
「フィル王子から『リオ姫との婚約を認めてほしい』ってきたのよ」
「へ……?!」
「もうそんな仲になってただなんて~!! もうママ知らなかったわ~……なんて、ちょっと嘘よ。フィル王子からは以前からずっと手紙をもらっててね」
「手紙?」
もうリオの頭の中は新情報でこんがらがっていた。
「トラウド国王がフィル王子にリオを誘惑するように告げてる、それからルーディアム国を乗っ取ろうとしているって」
「え? 知っていたの?!」
「まさかあの場であんな大胆にされると思っていなかったから、自分のわきの甘さに心底腹が立ったわ」
「それに誘惑って」
その言葉を聞くと、そっとノエルはリオのもとに近寄って両手を握って言った。
「フィル王子はなんて手紙に書いてたと思う?」
「なんでしょう」
「さあ~? ママは知らな~い♪ そこからは自分で聞いてきなさい!!」
そう言ってノエルはそのまま部屋の外へリオを押しやると、侍女にリオをトラウド国へと連れて行くよう指示した。
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