339人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「フィル……王子ですよね?」
「ああ」
「助けていただき、ありがとうございました」
「別に構わない」
何の興味もないというように椅子にかけるフィルに、リオは近づいていく。
性別のことを聞こうか聞くまいかともぞもぞしていると、言いたいことが分かったのかフィルはリオより先に言葉を発した。
「見たことは誰にも言わない、もちろん父上にもだ」
「──っ!?」
その言葉を言うと、「もういけ」と言って退室を促す。
リオは精いっぱいのお辞儀での礼をしたあと、部屋をあとにした。
リオが先程メイドと分かれた廊下の場所にいくと、ちょうど必死にリオを探しているメイドの姿が映った。
「大変申し訳ない!」
「リオ王子!! よかった!!」
「すみません、お手洗いを探していたら迷子になってしまいまして」
「そうでしたか、何事もなくよかったです。それでは食事の間へ向かいましょうか」
「はいっ!」
こうして何事もなかったかのように食事の間へ移動して、リオは手厚いもてなしを受けて宮殿へと帰った。
最初のコメントを投稿しよう!