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翌朝、なんとリオは再び隣国の宮殿に足を運んでいた。
「まあ、フィル様にお会いしたいと」
「はい、同じ年頃だと伺っておりますので、ぜひお話をと」
「それはフィル様も喜びますわ! フィル様には許可をいただいておりますので、自室へご案内いたします」
メイドに案内され、昨日の順路をなぞるように廊下を進みながらフィルの自室へと到着した。
「フィル様、リオ王子がお見えになりました」
「入れ」
「失礼いたします」とメイドが言いながら、ドアを開けるとそこには昨日会ったフィルがいた。
メイドが一礼して去ると、リオはそっとドアを閉める。
「何しに来た」
(さっそく冷たい歓迎だな……)
窓際の椅子で本を読みながらリオに声をかける。
「まあ、おおよそ俺が誰かに秘密をばらしていないか気になって見に来たというところだろう」
(ば、ばれてる)
「ばらさないといったはずだ」
そういって本をぱたりと閉じるとリオに近づき、顔を覗き込む。
「安心しろ、どっからどう見ても『女です』という顔をしている」
「そ、そんなことはありません!」
「これで気づかないまわりがバカだな」
「私は立派な男です!」
そういうリオの顔のすぐ横に手のひらをバンと打ち付けると、身体を密着させる。
「秘密を守る代わりに条件がある」
「条件?」
「毎日俺に会いに来い」
「……はい?」
にやりと笑うフィルの真意がつかめず、呆然と立ち尽くすリオだった。
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