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 次の日、学校でまたディベートをした。昨日のことなんてなかったかのように、白鳥は相変わらず僕に突っかかった。僕も負けじと言い返す。 「残り時間は3分です」  タイムキーパーがそう告げた時、僕は彼女の顔をじっと見つめた。 「この前は無神経なこと言ってごめん」  僕の唐突な謝罪に、小さなどよめきが起こる。白鳥は何も言わなかった。ただ、いつもの強面(こわもて)から緊張を解放し、驚いた顔をした。それから「いいよ」と少しだけ笑った。比翼連理(ひよくれんり)とは対極にある僕たちの出し抜けの和解に、周囲は終始はてなマークを浮かべたままだった。
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