鳩羽色の憂鬱

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 早朝出勤の母を支えるため、中学に上がってから、お弁当を作るのは僕の担当になった。前夜に母と自分、二人分のお弁当を用意し、冷蔵庫に入れておく。  しかし母は、僕が苦労して作ったお弁当を家に忘れていくのだ。それも異常な頻度で。朝起きて、冷蔵庫の中でぽつんと佇む二つのお弁当を見て、何度落胆したかわからない。  僕は母の職場までお弁当を届ける。走れば、30分もあれば足りる。朝は1時間ほど余裕を持って起きるようにしているから問題はない。今日みたいに小テストがある日は勘弁してほしいと思うけれど。  僕の早起きの理由は明快である。ぎりぎりだと、忘れ物をしたり、遅刻したり、ろくなことがないからだ。人に迷惑をかけるからだ。それは母から教わった。母はいつもそうやって人に迷惑をかけていたから。  そんな母の尻拭いは常に僕の責務で、僕は(はなは)だうんざりしていた。
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