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幼き鳥たち
朝の小テストは満点だった。授業が始まるまでのわずかな休憩時間に、仲の良いクラスメイトが僕の机に集まってくる。
母を反面教師にしているからか、僕は人望もある。先生やクラスメイトとの関係も良好だ。ただし、一人を除いて。
「鳩見くん、その主張の論拠は?」
「それはさっき説明しただろ。頭に血が上って聞いてなかったのか?」
ディベート授業のグループメンバーの呆れ顔が視界の端に映る。また始まった、と小声で呟く奴もいた。僕は売られた喧嘩を買っただけだ。悪いのはコイツ、白鳥だ。
白鳥は中二の春からこのクラスに加わることになった転校生だ。凛とした眉に知的な瞳、すらりと伸びた四肢。中学生らしからぬ大人びた風貌に最初はたじろいでいたクラスメイトも、徐々に聡明で快活な彼女を慕うようになった。
僕とだけ折り合いが悪いのは、おそらく二人とも主導権を握りたがるタイプだからだろう。衝突は避けられまいと、僕は半ば諦めていた。
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