致死量の愛情

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

致死量の愛情

いつも、あの人には私の想いが伝わらない。 どんなに褒めてもいつも全然響いていない。   どんなに尽しても、あの人にはお礼をいわれることすらも、ない。 あの人は、いつだって冷たくて私にはやさしさを向けてくれやしない。 なにもしていないぽっと出の女に、あの人を奪われるくらいなら、私がこの手で─ あした、あの人に渡すつもりだったバレンタインのチョコレートにこっそり、ほんの少しだけ、薬をまぜる。 あの人が、私のものにならないのなら、いっそ、このままあの人を私だけのお人形にしてしまえばいい。 私が苦しんだぶんだけ、あの人にも同じだけ苦しんでほしい。 チョコレートには、薬以外にも4種の水仙もまぜた。 水仙の花言葉は、【自己愛】、【神秘】、【尊敬】 そして、─私のもとにもう一度帰ってきて。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!