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デート当日
ついに!
結菜ちゃんとのデートの日が来てしまった。
僕の存続を賭けた、特別な一日だ!
出発前。
九十九博士の手により僕のヘソに位置情報発信機能付き、音声同時収録型の高感度広角監視カメラを装着させられる。
博士が結菜ちゃんとの合体を確認するためだ。
合体しなければ博士に破壊されるかもしれず、合体すればモトヒコさんに意識を削除されるかもしれない。
果たして僕という意識が生き延びる可能性は・・・あるのか?
初めてのデートだというのに、僕はまるで重い十字架を背負ってゴルゴタの坂を登るイエス・キリストのような心境で、とぼとぼ歩いて待ち合わせたカフェに到着した。
駐車場に、装甲車みたいなイカツイ黒い車が止まっていた。
「カフェで軽食を済ませたらドライブしましょうか?」
装甲車みたいな車のハッチを開けて顔を出したのは結菜ちゃんだった。
「ぅわっ! すごっ! 結菜ちゃんの車?」
「驚かせちゃった? あまり時間がないので食事しながら説明するわ」
結菜ちゃんは、颯爽と車から降りてカフェに入った。
圧倒された僕は、結菜ちゃんについて店に入る。
「モーニング・セット二つ。飲み物は、私はコーヒー。キューちゃんは?」
「あ、僕もコーヒーで」
結菜ちゃんは、何か思い詰めたような表情で、窓の向こうに広がる海を見ていた。
美しい結菜ちゃんの横顔を見つめていると、僕の演算装置は、急にフル稼働し始める。
何か信号を受け止めたようだ。
ハッとする。
結菜ちゃんの前髪が風もないのにユラユラ揺れて、不思議な形を作っている。
おや?
どうやら髪の毛はアルファベットを形作っている。
ゆっくり順番に文字をつなぎ合わせてみると…
I'm glad you noticed
《気づいてもらえて嬉しい》
Don't react so the doctor doesn't notice
《博士に気づかれないよう反応しないで》
結菜ちゃんは、ぼんやりと窓の外を見つめるふりをしながら、髪の毛で、恐ろしいことを語り始めた。
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