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結菜ちゃんの告白
99万年前。
九十九博士はレフト星から地球を偵察に訪れ、この星が彼らの生態に適していたため仲間を呼び寄せ、彼らは地球人に同化していった。
同じころ。
モトヒコ卿はライト星から地球を偵察に訪れ、やはりこの星が彼らの生態に適していたことから仲間を呼び寄せ、彼らもまた地球人に同化していった。
レフト星人のDNAは主に左脳を進化させ、ライト星人のDNAは右脳を進化させた。
長い間、彼らはお互いの良さを認め合い地球人の進化を見守ってきたのだが、ここへ来て、突如、彼らの友好関係は破綻した。
レフト星人を代表する九十九博士は、有害物質に汚染され続ける地球に嫌気がさし、このままでは宇宙にさえ害を及ぼすと予見したため、主だった者たちをレフト星に返し、地球丸ごと爆破してしまおうという計画に踏み切った。
一方、ライト星人を代表するモトヒコ卿は、まだ地球は改善の余地があると考え、どんな方法を用いても地球を存続させたいと考えている。
私は、レフト星人探査型特殊スパイとしてモトヒコ卿に作られたAI。
レフト星人には、私がAIであることが見抜けないよう特殊技術が施されている・・・はずだったのだが、九十九博士は、あなたというライト星人探査型特殊スパイを制作して、とうとう私の正体を見破ってしまった。
あなたに課せられた俗世間的な命題の中に恐るべき誘導探査因子が含まれていることに気づいた時は、既に手遅れだった。
私は、九十九博士の手でクライマックスと呼ばれる装置を埋め込まれた。
モトヒコ卿の推察では、重水素や三重水素もしくは、それを超える何かが超高圧で保存されているのではないかと。
すなわち、あなたと合体することで起爆装置が作動、超高圧、超高温、超高速で私たちがクライマックスをむかえた、その瞬間!
地球は一瞬で吹き飛ぶ・・
そこまで語った結菜ちゃんの髪は、スーッと脱力したかのように無口になる。
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