ケチャップ

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ケチャップ

僕は、いくつもの質問をしたかったけれど、結菜ちゃんのように特殊な能力を持ち合わせておらず、最も手短に質問する文言は何か、など考えていると、モーニングセットが運ばれて来た。 サンドイッチ、オムレツ、サラダ、コーヒー。 テーブルの脇にドレッシングやケチャップが常備されている。 僕は、ケチャップを手に取り 「How can we help?」 (僕らが助かる方法は?) と、オムレツの上に慎重に記した。 結菜ちゃんは、正面から僕を正視して、横に首を振った。 結菜ちゃんは、モーニングを食べながら前髪で語り続けた。 もし約束の時間までに私たちが合体しなくても、私たちには時限発火装置が仕組まれている。 私たちが爆発から逃れることは不可能。 九十九博士は、つい最近、あなたというへの乗り換え計画を中止。本来は星に乗って帰るために製造していた宇宙船そのものの中枢に、自分を丸ごと組み込んだ。 キューちゃんが右脳的回路を過剰に組上げ、複雑に駆使している実績から、おそらく私と組んで謀反を起こすことを博士は予見したのよ。 だから私たちのは、もう、誰にも必要とされていない。 私たちに、破滅以外の選択肢は残されていない。 ただ。 地球を救う方法はある。 今夜の24時、時限装置が働く前に、私たちが地球から遠く離れ、そこで合体する。 そうすれば、私たちは星屑になるけれど地球は救われる。 私が乗って来た黒い車は、超小型ロケットを積み込んだロケットの発射台なの。 ロケットには、二人がギリギリ乗り込めるスペースがある。 今朝、モトヒコ卿が私たちに、プレゼントしてくれた。 「君たちの燃えるような愛を! 応援してる」 と。
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